20200504 ゆるキャン

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数日前、はてなブログから「更新が1ヵ月止まっている」とメールが届いた。むしろこれまで更新が続いていたことの方に驚かされるけれど、自宅待機が始まった日とぴったり重なっていてなるほどと腑に落ちた。自分は外出好きのインドア派で、休日は必ず電車に乗ってどこかへは行くんだけど、結局映画館なりに引きこもるというよく分からない生活がルーチンになっている。このブログを用意したのも、そうやって出先で撮り貯めた写真を公開したり、その時考えていたことをメモする場所が欲しかったからだった。

今年のGWは強制で自宅待機になってしまったが、積んでいるゲームや本が山ほどあるのでそこまで苦でもない。30時間くらいプレイして放置したままのラムラーナ2を片づけるとか、オンライン公開されたホドロフスキーの新作を見るとか色々考えていたのだけど、いざ連休が始まって最初にやったのはゆるキャンを全話見る事だった

ゆるキャンの良さは「しまりんがかわいい」の一言で8割くらい説明できる気もするけど、それは流石に酷すぎるのでもう少し書いてみる。

まずキャンプ趣味という題材がアニメーション作品との相性が良い。「テントを設営する」とか「炭に火を点ける」とかそういう動作を細やかに描写していくだけでも楽しいし、時には環境音のみを鳴らしながら風に揺れる草木をゆっくり映してみるとか、絵・音・時間を扱う映像作品としてネタに出来る要素が無限に転がっている。キャンプ場に着くまでも温泉や道の駅とかどんどん寄り道していくので、背景が固定されずに変わっていくのも良い。制作スタッフはロケハンもやったそうで、その成果もあってか、キャンプ場における地上との時間の流れ方の違いみたいなものが濃密に映像に反映されていると思う。

こんな風に説明してしまうと趣味性の高いハードコアなアニメみたいだけど、きらら原作なので、もちろん女の子たちがわちゃわちゃしている姿を眺めるのがメイン。主人公であるしまりんとなでしこの交流を追うのが少なくとも本編におけるストーリーの主軸になっているのだけれど、ゆるキャンの面白いところは、それがソロキャンパー派のしまりんと野外活動サークル(野クル)に所属するなでしこという別ジャンルで活動している人らの異文化交流として置き換えられていること。1人で行動していたしまりんが野外活動サークルに所属するようになっておしまい!みたいな展開にはならず、あくまで嗜好の違いとして描かれているのが心地良い。

キャンパー文化による置き換えはこれだけではなくて、特筆すべきは9話。原付で長野へ向かうしまりんを、自宅にいるなでしこがスマホでナビするという回。しまりんは山の待合室で居合わせた登山家のお姉さんにほうじ茶を貰うなど、山の上でしか発生しないようなコミュニケーションを経験しつつ目的地を目指す。しかし、キャンプ場に入る道に立入禁止の看板が置かれていて立ち往生するという事件が起きる。ここでは、なでしこの家に来ていた大垣千明(野クルの部長。しまりんからは苦手意識を持たれている)の助言によって、なんとか目的地に辿り着くことができる。これは直前にあったほうじ茶のエピソードと対比されていて、同じ学校に通っていたのに微妙な仲だったしまりんと千明が、山の上で自然に行われるキャンパー同士の助け合いのような形で距離を縮めるという構図になっている。(それがスマホ上でのやり取りに置き換わっている所も面白い)

こんな感じで女子高生達のコミュニケーションが、キャンパー文化と密に絡むようになっているのが、ゆるキャン独自の面白い部分だと思う。

この辺りの構成が原作からかっちり組まれていたのか、アニメ化するにあたって調整した部分なのかは気になるところ。まだ10巻くらいらしいので読んでみてもいいかも。でも来年2期もあるらしいし、原作の答え合わせみたいにアニメ見ることになるのは嫌だし迷う。

あと完全に余談だけど、しまりんに「ノリが合わない」と敬遠されている千明の声優が原紗友里なのは笑ってしまった。声色も殆ど変えてないせいで、一人でテンション高めに喋り倒す場面とかはデレパがよぎるんだよ! 年を取ってデレパから離脱していった頃の自分を思い出しながらしまりんに共感するという全方面に失礼なことをしていた。